2018

株式会社金市商店のシニアマネージャー市川洋子さんの写真

「中小企業総合展 in FOODEX」
出展企業:成功事例
#005
京の蜂蜜家による
新たなものづくり、
国産蜂蜜醸造酒“ミード”で
新規マーケット構築に挑む。
【株式会社金市商店】京都

「金市商店」の出展事例に学ぶこと

京の台所・錦市場や新京極商店街、先斗町や祇園からもほど近く、外国人観光客をはじめ多くの観光客で賑わう三条通富小路。そんな京都の中心地に位置する“株式会社金市商店”は、国産蜂蜜の製造・販売を手掛ける商社兼製造メーカーである。昭和初期に菓子原料問屋として創業し、1998年業界に先駆けて蜂蜜専門店としてバラエティ蜂蜜を製造・販売、さらに2005年からは蜂蜜醸造酒“ミード”の拡販に注力し、さらには国産のオリジナル“ミード”の開発まで成し遂げたパイオニア企業だ。

日本における蜂蜜市場黎明期から、蜂蜜の可能性に着目して拡販してきたシニアマネージャーの市川洋子さんに、オリジナル“ミード”開発から中小企業総合展の出展経緯とその成果についてお話しを聞いた。

蜂蜜市場からミード市場へゼロからの挑戦

「初めてFOODEXへ出展したのは今から15年ほど前だったでしょうか。まだ世の中に蜂蜜専門店がなかった時代だったと思います」

創業以来、蜂蜜をはじめ雑穀の卸売問屋を営んでいた同社。1998年に本社ビルをリニューアルオープンしたのを機に、それまで卸用に大容量ボトルしか存在しなかった蜂蜜を、一般市場向けに小瓶によるバラエティ蜂蜜「ミールミィ」として発売し、雑誌などメディアでも注目を集めていた。

「発売後、卸先が増えたとはいえ営業マンはいませんのでこの先どう拡販していくかが課題でした。そこで清水の舞台から飛び降りる気持ちでFOODEXへ単独出展したのです」

国産蜂蜜が珍しかった当時、全国からバイヤーが集まる展示会FOODEXでも注目を集めて次々とオファーが舞い込み、順調に販路を広げた。オリジナル蜂蜜「ミールミィ」は蜂蜜ブームの火付け役となったという。

「花の種類ごとにバラエティ豊かな蜂蜜の魅力を伝えて販路をつくることはできたと思っています。でもブームに乗って蜂蜜専門店が増えてきて……、どう差別化していくかが次の課題となりました。そんな時に出会ったのが、蜂蜜の醸造酒“ミード”です」

国産蜂蜜に加えて海外の珍しい蜂蜜など取り扱い品目が増えてきた頃、ニュージーランドの養蜂家を視察したときに、その味に感動して惚れ込んだのがミードだった。

「次はこれだ!と思いました。ただ、ミードを輸入販売しようにも、当時日本ではミードの流通はありませんでしたし、知っている人すらほとんどいない状況。しかも私どもは酒販免許もありませんでしたから、全てがゼロからのスタートだったんです」

はちみつのお酒蜜月の写真

ミードとさくら蜂蜜の写真

中小企業総合展でマーケットの可能性を実感

2005年には販売体制を整えて蜂蜜醸造酒ミードの輸入をスタート。同じ頃、FOODEXへもミードを携えて単独出展した。

「出せば売れるだろうと商品に自信はありましたが、全く引き合いはありませんでした。酒業界のことを分かってなかったんですね。反応があったのは酒造メーカーだけ。その後、酒造メーカーからいくつかの国産ミードが世に出ました。ただ、お酒に蜂蜜をブレンドしたリキュールであったり、醸造酒であっても発酵が進んでミード独特の甘みがなかったり……、私たちが惚れ込んだミードとは別物だったのです。そこで、金市商店でも酒蔵とのコラボで独自のミード醸造に乗り出しました」

こうして2017年、金市商店は京都の酒蔵“城陽酒造”とともにオリジナルの国産ミード「蜂蜜のお酒 蜜月」を開発。同業者のネットワークから中小機構が運営する中小企業総合展in FOODEXの存在を知り、出展を決めたという。

「中小企業総合展は集客力があるという話は聞いていましたから、当初から期待はしていました。私どもは輸入ミード販売は長年手がけていましたが、オリジナルの国産ミードは初の試み。ただでさえミードは認知度が低いですから、まずはこのお酒の魅力を味わっていただきたいというのが狙いでした。より多くの方に試飲いただけるよう、ブースでは小さな樽でミードを提供。蜂蜜が醸す香り豊かなお酒の魅力を味わっていただけるようにひたすら努めました。狙い通り期間中には多くの方に試飲いただき、好評をいただきました。メインターゲットである女性に試飲していただいて、マーケットの可能性を確信できたのは大きな収穫でしたね」

酒販店からは出荷ロットの問題などから厳しい意見も多かったというが、大手商社のビューティー部門担当者が金市商店の取り組みに共感し、関西での展示会への出展が決定。特設ブース販売が実現し、さらに多くのユーザーへの認知拡大へつながった。

日本産“ミード”で、海外市場への逆輸入を狙う

中小企業総合展へ出展以降、感度の高いショップや都内の高級食材店、またギフトの需要など、さまざまなオファーがあったという。一方でホテルや飲食店では「どんな料理に合わせると良いか」「どのタイミングで飲むのが良いか」など飲み方提案を求められるなど、金市商店のオリジナルミードの流通にはまだまだ数々の課題が立ちはだかっている。

「中小企業総合展ではもちろん実質的な成果も重要ではありましたが、それ以上にさまざまな手応えがありました。マーケットの可能性を探れたことはもちろんですが、出展者同士の情報交換も大きな収穫でした。ジャンルは違えど同じように新たな商材でチャレンジしている企業の取り組みは勉強になりましたね。今後はレシピ提案や飲み方提案などを含めて、ミードの魅力をさらに伝えていきたいですね」

さらには日本国内にとどまらず海外市場も見据えていると市川さんは語る。

「中小企業総合展には次回もぜひ出展したいと考えています。国内はもとより海外からのバイヤーも多いので、英語のプロモーションツールも作って、逆輸入を目指したいですね。今年は国産の桜の蜂蜜を原料にしたミード“桜花”も発売したのですが、海外からの引きも強かったです。日本の四季を生かした春夏秋冬の国産ミードを開発して、海外市場を狙いたいところです」

英語のプロモーションツールの写真

シニアマネージャーの市川洋子さんの写真

FOODEXへの単独出展から新たな市場を確立し、蜂蜜醸造酒というさらなる商品開発で新しいマーケット構築に挑む金市商店。中小企業総合展への出展によって市場の可能性を探りながら着実に販路を拡大しつつある。国産ミードの魅力をより広く知らしめたいという熱意の先にある今後の展開に期待が高まる。

株式会社金市商店 店舗の写真

[企業DATA]

株式会社金市商店

本社住所
京都府京都市中京区三条通富小路西入中之町21番地
代表取締役
市川 拓三郎
事業内容
蜂蜜製造・卸販売、ジャム、蜂蜜酒、その他関連製品販売
URL
http://www.kaneichi-syouten.com
  • ナビゲーター : 中小機構 販路支援部 嶋田 俊也
  • 取材・文 : スクーデリア 瀬上 昌子

過去開催実績

  • 中小企業総合展 in FOODEX 2018
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2017
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2016
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2015
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