成功事例

株式会社出羽の岡部信之社長の写真

「中小企業総合展 in FOODEX」
出展企業:成功事例
#004
米どころ庄内の素材にこだわって
醸す“どぶろく”で
出展ごとに販路拡大を実現。
飲食店にとどまらない、そば職人の試み。
【株式会社出羽】山形

「出羽」の出展事例に学ぶこと

新潟から山形方面へ向かって走るJR羽越本線の車窓からは、左手に日本海、右手に田園風景が続く。今回訪れた“株式会社出羽”は、米どころ山形県酒田市で日本そば専門店“手打そば 出羽”を営みながら、庄内の米や蕎麦で本格辛口のどぶろくを醸す製造メーカー。平成18年に酒田市どぶろく特区認定第一号としてどぶろく醸造をスタートし、中小企業総合展 in FOODEXへの出展で年々新たな販路を広げ続けている企業である。

自身もそば職人として日々そばを打ちながらも、展示会出展などによってどぶろくの拡販を一手に手掛ける専務取締役の岡部覚さんに、中小企業総合展の出展経緯とその成果についてインタビューした。

中小企業総合展出展で、山形県外マーケットの規模の大きさを実感

今から8年ほど前に家業を継ぐ決意をして異業種から実家へ戻ってきたという4代目の岡部さん。先々代が「庄内の米で醸す独自の酒を」と造り始めたどぶろくは、当初は蕎麦屋の店先と酒田市内の物産館で販売しているだけであった。それを市外へ拡販しようと試みた岡部さんがまず参加したのは山形で開催のビジネスマッチング。一般客への物販を行いながら、商談のチャンスを狙う場としての出展だったが、なかなか期待通りの成果は得られなかったという。

そんな頃、米とそばで醸す“蕎麦屋の隠し酒 そばどぶ”が地域資源活用事業(※)に認定され、2016年の中小企業総合展 in FOODEXに出展する機会を得た。
「一番驚いたのは規模の大きさでしたね。国内はもちろん外国からの来場者も多い。どぶろくは米を主食とする日本独自の文化の中で育まれたお酒ですから、いろいろな酒文化の国の人々のリアクションがそれぞれ違うことも興味深かったですし、可能性を感じました。酒店や飲食店などからの引き合いもあって、それ以来、『マーケットは外にあるんじゃないか』とFOODEXは継続して出展したい展示会となりました」

出羽のどぶろくとそばどぶの写真

製造過程と商品の写真

中小企業総合展というパッケージの魅力

「中小企業総合展のブースは多数の出展企業がひとくくりになっていますから、広い会場内でも目立ちますし注目されやすいのがいいですね。全国からさまざまな食材の出展者が集まっていますから、当日、出展者同士で勝手にコラボレーションが始まるんですよ。例えばどぶろくを試飲いただいた後に漬物の試食をつまみにおススメするとか」と岡部さん。1+1が2ではなくプラスαの相乗効果が生まれるのも魅力だと語る。

「3回目となる2018年の出展では、ブースの一角で“プレゼンキッチンコーナー”の企画が行われたのは良かったですね。うちの商品のプレゼンテーションでは、中小機構のMCの方に、“出羽のどぶろく”のストーリーやセールスポイントをうまく引き出してもらうことができて、とても効果的なPRにつながったと感じています」

「またブースディスプレイの面でも、経験豊富な中小機構のアドバイザーの方にアドバイスいただけたのは勉強になりました。私は今でも毎朝そばを打って店にも立つ職人ですから、なかなか外へ営業に出たり、売り方を勉強しに行ったりする時間も持てません。セールスやプレゼンテーションも初心者ですから、いろいろとアドバイスをいただけるのはありがたいですね」。展示会での商品の見せ方やアピールポイントなども、現場で学ぶことが毎回多いという。

2017年 株式会社出羽 出展ブースの写真

酒店、飲食店へと販路を広げ、海外市場を目指す

「私が、山形県外へ向けてどぶろくの拡販を担当するようになって、7年が経ちましたが、これほどまでに効果を実感できる展示会は中小企業総合展 in FOODEX以外にはありません。今後はそこに焦点を絞って出展していきたいと考えています」。2018年出展後の成果として特徴的だったのが、これまで取り引きのなかった仲卸業者からの引き合いがあり、今後新たな販路開拓に繋がる足がかりができたこと。さらに近年地元では、FOODEXに出展したいという企業が増え、他社へも広がりを見せているようだ。

株式会社出羽 岡部信之社長の写真

「展示会では、海外のお客様から声がかかることも増えてきましたが、本格的な参入はまだまだこれからです。日本酒と違って、“どぶろく”の国内市場はさほど大きくなくてパイの取り合いなんですよ。今後は海外も目標に据えて、日本古来の酒文化“どぶろく”を海外に広めていきたいですね。それと同時に“どぶろく”にまつわるストーリーも伝えていくことができれば、海外市場でも興味を持ってもらえるのではないかと考えています」

中小企業総合展への出展は、新たな販路を築く足がかりの場であるのと同時に、自社商品やブランドのプロモーションのノウハウを学び、さらなるステップアップを図るための登竜門的な役割も果たしていると言えそうだ。

(※)地域資源活用事業とは、都道府県が指定する地域産業資源(農林水産物、生産技術、観光資源)を活用して、中小企業者が商品の開発・生産、役務の提供、需要の開拓等の事業を行うものです。 「地域資源活用事業計画」を作成し、その内容について国から認定を受けると各種支援策でサポートが受けられます。

株式会社出羽 店舗と暖簾の写真

[企業DATA]

株式会社出羽

本社住所
山形県酒田市両羽町5-4
事業内容
手打ちそば・どぶろく・菓子の製造販売
  • ナビゲーター : 中小機構 販路支援部 嶋田 俊也
  • 取材・文 : スクーデリア 瀬上 昌子

過去開催実績

  • 中小企業総合展 in FOODEX 2020
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2019
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2018
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2017
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2016
  • 中小企業総合展 in FOODEX 2015
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