出展申込について

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地域資源にこだわった水産加工品開発で
南三陸ブランドの認知度を拡大。
他にはない付加価値を追求し
持続可能な水産業の新境地を目指す。

【株式会社丸荒】宮城

親潮と黒潮が出会う潮目によって育まれる水産資源豊かな三陸・金華山沖は、世界三大漁場として知られている。そんな三陸海岸の南部に位置する志津川湾は、カキやホヤ、ワカメ、ウニなどの養殖業が盛んなエリアだ。

今回取材に訪れた“株式会社丸荒”は、地域資源にこだわった水産加工品を手掛ける企業である。東日本大震災によって甚大な被害を受けた南三陸町で、水産業と町の復興に力を尽くしつつ、2019年にようやく自社工場を再建した。「南三陸産の水産資源に高付加価値を持った魅力ある商品として世に送り出し、南三陸ブランドの認知拡大につなげたい」というビジョンを掲げる同社代表取締役の及川吉則さんに、中小企業総合展 in FOODEX 2022出展へ至るまでの道のりとその成果について話を聞いた。

震災後、町の復興に尽力し、
高付加価値の水産加工品で新市場を狙う

JR仙台駅からいくつかのローカル線と気仙沼線BRT※1を乗り継ぎ、田園風景が広がる山間を抜けて訪れたのは、志津川湾沿いの南三陸町にある水産加工食品メーカーである丸荒の新工場。創業1974年、漁業からスタートした丸荒は、志津川湾で水揚げした魚貝の卸販売を手掛け、現代表の及川さんが二代目を継承してからは、加工品の企画製造へと事業を拡大し、日本各地へ販路を広げていた。

2011年、東日本を襲った大震災と津波によって南三陸町は町全体をはじめ漁場も大きな被害を受けた。湾に近い同社も5つの工場のうち4つを流失し、新工場の再建までには8年の歳月がかかったという。「私どもの加工業は、原料である魚貝が獲れなければ成り立ちません。ですからまずは漁業と町の復興から取り組み始めたのです」と及川さんは語る。津波によって船や養殖設備、ホタテやワカメの種など全てを失った志津川湾は、漁場としてもゼロからの復興が必要だったのだ。

町の復興に奔走し、現在は南三陸町の観光協会や産業団体連絡協議会の会長も務める及川さんは、自社の新工場再建後、町を牽引するという大きな視点を併せ持ちながら、新商品の開発に挑むこととなった。「水揚げ量は震災前の3分の1までしか戻りませんでしたから、以前と同じでは原料の供給が当然追いつきません。漁師など生産者も含めて持続可能な水産業を構築するために、将来性のある全く新しい商品づくりに取り組んだのです。そこで開発したのは、『やわらかふっくら 三陸魚貝の炊き込みご飯の素』シリーズなど、これまでにない付加価値の高い水産加工品でした。時代のニーズに合わせて、即食できる食品でありながらも、素材の良さを生かすため無添加にこだわって、元々持っていた加工技術によって素材の鮮度を落とさずに加工することに成功したのです」。

「素材・製法ともにこだわり抜いた新商品は自ずと単価も高くなり、震災前とはターゲット層も異なりますから、とにかくまずはさまざまな展示会へ積極的に出展しました。そして高級食材ショップや百貨店をはじめとする新たな販路開拓はもちろん、バイヤーさんの声に耳を傾けながら、商品の方向性を徐々に絞り込んでいったのです」。宮城県内をはじめとする多様な展示会でPRとマーケティングを行い、価格競争による消耗戦ではなく、「原料や味、安全性など、商品の魅力を正しく評価してもらった上での新規販路を開拓する」という明確な目標のもと、商品のブラッシュアップを重ねていったという。

※1 BRT(Bus Rapid Transit):JR東日本のバスによる新しい交通システム「BRT(バス高速輸送システム)。気仙沼線は前谷地から気仙沼の72.8kmを結ぶ。

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集客力が違う!
全国から
選りすぐりの逸品が集まる総合展

同時に高級感のあるパッケージやロゴ、HPといった営業ツールを新たに制作するなどブランドイメージの構築にも力を注いだ。そんな中、新工場における企業活動を本格的に再始動して1年が経過した頃に、中小機構のアドバイザーとの出会いがあり、3年間の販路支援が始まったという。「さまざまなサポートを受けながら、地域資源を使った新商品の『骨までおいしいお魚』シリーズが、「地域産業資源活用事業計画」として認定されたのです。狙うターゲット層に届く販路が徐々に広がりを見せていましたが、この認定を機にさらなるチャンスが巡ってきました」。

中小機構のアドバイザーの勧めにより、中小企業総合展 in FOODEX 2022へ申し込み、初出展を果たした。「これまでの展示会と大きく違ったのは、何より集客力でした。中小企業総合展 in FOODEXは、バイヤーさんにとっても『全国から選りすぐりの逸品が集まったブース』という印象が強いように思います。私たちがこだわり抜いてつくった商品の魅力がきちんと来場者の方々へ伝わったと実感できる展示会でしたね。マッチングについても、期待通りの商談と取り引きにつながる、大変満足度の高いものとなりました」と及川さんは出展を振り返る。

丸荒の加工技術は非常に高く、プライベートブランドやOEMの開発依頼も多い。現在も、総合展で縁のあったバイヤーからの発注はもちろん、開発の相談や新たな問い合わせまでさまざまな引き合いの連絡が毎日のように入るという。

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キッチンスタジオ企画に採用され、
集客につながる反響

「中小企業総合展 in FOOODEX では、『キッチンスタジオ』というメニュー提案の企画に当社の商品が採用され、会場で試食してもらうチャンスを得ることができました。調理実演コーナーで試食をしたお客様が実際に私どものブースへ足を運ばれることも多かったです。こうした実践的な企画で会場の空気を盛り上げてもらえることも、総合展の魅力のひとつですね。何より、中小企業総合展 in FOODEXは、希望するマッチングに確実につながる素晴らしい場だと思います」と及川さん。

展示会当日のディスプレイや各種ツール制作、接客など、準備段階でこだわったことがあるかと問うと、意外にも「事前開催の講習会はとても勉強になったが、当日のディスプレイなどはいつも通りで、特別なことはしていない」という答えが返ってきた。数あるブースの中でバイヤーの注目を集めるにはディスプレイなどが重要であるのは言うまでもないが、丸荒の事例によって、「揺るぎない目的、明確なターゲットやコンセプト、そしてこだわり抜いてつくった商品そのものの魅力」を、時間をかけてつくり上げていくという姿勢も大切なポイントであると改めて言えそうだ。

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将来性のある商品開発で
南三陸町の活性化を目指す

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及川さんに今後の展望を尋ねると、「南三陸の生産者にはできるだけ良い環境で、良い現状をつくってもらいたいと考えています。私どもがそれに高付加価値を持たせて世に出すことが南三陸全体の産業の経営安定につながり、良い循環を生み出すのです。これからも持続可能な水産業のために、将来性のある商品開発を目指して邁進していきたいですね」と目を輝かせた。
海(ASC)と山(FSC)の国際認証※1を取得し、ラムサール条約※2にも登録される南三陸町は、森、川、里、海という豊かな自然に恵まれた町。その循環を守ろうとする人々と手を取り合いながら、誠実なものづくりによって南三陸ブランドを発信し続ける丸荒の活動は、さらなる好循環を生み出し、町の活性化へつながっていくことだろう。

※1 ASC認証:環境に負荷をかけず、地域社会に配慮して操業する養殖業に対する国際的な認証制度。 / FSC認証:持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した「適切な森林管理」を認証する国際的な制度。
※2 ラムサール条約:「水鳥の生息地として国際的に重要な湿地」を守ることを目的とする。登録地である志津川湾は国の天然記念物である水鳥コクガンの越冬地。

企業DATA

株式会社丸荒

事業内容
魚介類加工品製造業
所在地
宮城県南三陸町志津川字大森町201番地2
URL
https://maruaraoikawa01.stores.jp/
https://www.maruara.jp
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